豊浦の民話 - 「鴨助山の老狐」


 むかし、由良の鴨助山に、おさん子、おだ子の二匹の老狐が棲んでおり、その子孫が多く、付近の山一帯が狐の山であったそうです。
 そして、この狐たちは、あんまり多いので食物に困り、泊の三岩の浜へたくさんの子狐を連れて出て来て、浜に流れ寄る小肴などをひろって食べていました。
 浜に寄る小肴などがない時は、通行人の弁当をだまして取るやら、人家にしのび、勝手口の窓から油揚を取るなどして有名でした。 鴨助山とは、箱形山(いまの葉山の一部)の一帯で、七峯七沢あり、大将である老狐おさん子、おだ子の棲む場所は誰も知ることができなかったといわれます。ともかく、三瀬から由良に夜道を歩く人びとは、必ずと言ってよい程に、弁当やご馳走を奪われ、夜間の往来が跡絶えるありさまで、この街道は狐が群をつくり、怪火をともした狐の嫁入り行列が、夜毎に見られたそうです。(伊藤吉蔵氏 遺稿)