豊浦の民話 - 「猿の嫁になった三番娘」


 ある、ぢさまが、粟の草、とつさ、えたけど、そしたでば、粟の草が、モッコモッコて、おえで、いだけでもの、取りたで、ななぐで「ウーンこの粟の草、とてける人あったら、おれどさ、娘こ、三人あるさげ、どれが一人けるどもやー」……て、ぢんじぇ、くどえだ、でもの、したでば、ガサモサガサモサて、やぶからがら、猿出て来て……猿聞きつけで、「ぢんじぇぢんじぇ今、なにそえた」……て聞くでもの、ぢんじぇ「なにも、いわね……」て、そわね振り、したど、「ヤヤ、ヤヤ今なにが、いった……おせねば、かみごろすぞ」て、そうでもの、じんじぇ困ってしまて、「粟の草、エッペで、エッペで、この草、とてける人あったら、おれどさ、娘こ三人あるさげ、どれが一人けるども、やーて、そえたどこだァ」……て正直に、そえたど、そしたでば、「よーし、そせば、俺とて、けろやー」て、ガサモソガサモソ……て、たぢまぢ、草とて、きっれいしたけど。
 そしての「じんちぇじんちぇ約束通り、草とたさげ、約束通り、いぢ、いっか娘どご、もらうさ、えぐぞ、けねごんだば、おめどご噛みごろすさげのォ……」て、そうでもの、じんちぇ、そえては見だものの、えさ来て、シンペでシンペで、ねて、おぎねけど、……三日も四日も一週間も……まゝも、かねで、ねで、おぎねでもの、一番の姉こが、シンペして「ぢさまぢさま、ママかねで、ただねで……、ママかねど、からださ、どぐださげ、おぎてママけー」て聞いだど、「ノー俺さが、く(苦)あって、シンペでシンペで、それで、おぎらえねェ」「なにそげ、くだごとあるー」「俺が、こうこうこうして、こえたでば、こうだし、わね猿のあばえなて、けらえねろしのォー」て、そえたでもの、「たまげだちェ、たまげだちェ、だれそげ猿のあばえなの、なる人あるもだがァー……このチキショウぢっこ」ねて、枕元、ふだぐて、にげだふだ、一番姉こ、枕元ふだぐてにげだけど、そうして、二番目も、その通りだけど、……にげたけど、そしての、三番目の娘が来て「ぢいさん、ぢいさん、なしてそげ、ねで、おぎねェ、ママかねば、からだやせで、死んでしまうさげ、おぎで、ままけー」「俺が、くあって」「そげ、なにくある……ぢさまの、ごどだば何んでも、聞くさげ、おぎれ……おぎでままけー」「のー……こだごど言って、いぢいっか、なたども、猿の来る日もなるども、わねは猿のあばえなのなて、けらえねろし」「アーなるなる、ぢさまの言う、ごどだば、猿のあばだろ、ひじのあばだろ、なるなる、まづおぎで、ままけー」……ぢいさんは、もしょぐで、もしょぐで、猿え噛みころさねても、よぐで、もしょぐで、もしょぐで、おぎでままくって「あした町さ、けもの(買物)えごう……」てぜん(銭)ウンサリたげて、けもの(買物)えたど、そして、どっさり買ってもらて、あれも、これもて、買てもらて……。
 そして来たでば、「ゴツ、ゴツ、ゴツ」ねて、だいの猿が、来たでもの……「ぢいさん、ぢいさん約束通り来た」ねて、来たでもの……ぢいさん、たまげでしまて……娘は、だまっていだろし、ぢいさんは、どもなねし……約束もしたもだし、どもなねし、酒のエッペも、のんだもんでら、のまねもんでら、あるもの、しょわせて、まづやたど……娘どご、めじょけねども、泣き別れして、やたどや、娘は、もしょぐねつらも、さねで……えたけでし、そしたば、だんだえ、だんだえ、秋でも、正月でも来るよえ、なてがらであめが、「ぢいさん、ぢいさん、おめほで、正月は、どうしてえぐもだ……」て聞ぐでも「おらほではの、ありったげの金、小袋さ入れで、嫁さ持だせで……そして餅ついで……餅は、うすのまま、おめ背負て……そして祭り見、えぐどごだ……」て、おせだど……「えー、そが、そが」ねての、なんぼが、金ためだがし、あたげ、あっげ袋さ、エッペ金入れで、姉さ持だせで、わは、餅、おっきうすのまま、背負て、沢どご、えたけど、猿だもんだもの、沢のあだり、川のあだり、ばっかり、えぐでんだ。
 そしたでばの、川ばださ、きっれいだ、藤の花、もっせよえなて、せで(咲いて)いだけでもの……嫁がの「アー藤の花、きれいだごど……おらえの、ぢいさん藤の花好きで……あの花一枝とてえたら、なぼがし、もしょがるがし……」て、そえたけど、そしたでば猿がの「よしよしそだば、俺一枝とてくるさげ」ねて、……ドッコエど、うすどご土の上さ、おろそど、すでもの「オヨッ、土の上さ、おえで……そげだごど、しでうど、土くせて、おらえの、ぢいさん、かね人だでば……」て、そえたど、「エーそがそが」ねて、こんど、木の根っ子の上さ、おごどすでもの、「そげだとさ、おぐど木くせねて……おらえの、ぢいさん、かねでば……」て、そえたど「アヤヤーどさおろせば、えば……そせば、こさおろすが……」ねて、石わらさ、おろそどすでもの「おらえのぢいさん、あれくせ、これくせて……かおりばりして、石くせて、かねちゃ……」て、そえだでば、「アヤヤ……あだでら、こだでらて……めんどくせ……しょて上れちゃ……」ねて、どっこえど背負て、木さ、のぼたでもの、そして、「こごーがァ、この枝がァ」て、猿が、そうでもの「もっとシーンぺ」猿がドッコエど、上の方さ、のぼて「この枝がァ」「もっと、ウーエ」「こごの枝がァ」て、手のばした時、ポキーンと枝おれで、猿川さ、おぢだけど、そしての、「猿、沢に流れで命はおしくなげれども、あどの十六娘が、おなぎなくわい」
 て、猿が、うだいながら流れで、えたけど、
 娘はのォ「アヤヤッ、チキショウ、みだぐなし、おらえの、ぢいさんどご、ばがえして、だれ猿のアバえなれ、ねて、粟の草とたぐれで、猿のアバえなれねて、サッサどながれてえげちゃァ」て猿さどなてやたけど。
 そしての、猿がらもらた金もエッペだげで、ぢいさんのえさ、えて、せっぺしゃわせでくらしたけど、ほださげ親のいうごどは聞くもだど。

原話 伊関豊野